老後破産の理由
ここ数年、「老後破産」という言葉をよく耳にします。
貯金が全くなかったのであれば破産するのも仕方がありませんが、現役時代にしっかりと働き、年金もあり、貯金もしていたのにも関わらず、定年後に破産し、生活に困っている人が少なくないそうです。
「なんで?」と首をかしげたくなりますね。
なんでそうなってしまうのか、その理由を調べてみたいと思います。
2017年発表の総務省の統計によると65歳以上の高齢者人口は次のようになっています。
総人口12,671万人に対し65歳以上高齢者人口3,514万人
●総人口が21万人減少する一方、高齢者は57万人増加
●総人口に占める高齢者人口の割合は27.7%と、過去最高
●90歳以上人口が初めて200万人を超える
●日本の高齢者人口の割合は、世界で最高
参照:統計トピックスNo.103 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)-「敬老の日」にちなんで-
総人口に占める高齢者人口の割合は1950年には4.9%だったのが2017年は27.7%となり、日本人の4人に1人は、定年を迎え年金を受給している高齢者ということになります。
今後も、高齢者の割合は増えていくことが予想され、2040年には35.3%になると見込まれています。
しかしなぜ、高度成長期に活躍した豊かな世代なのに、老後に破産してしまう人がいるのでしょうか。
老後破産の原因として、住宅ローンや子どもの教育費、医療費の負担などが原因で想像以上の出費となり、老後に必要なお金が足りなくなってしまうケースが多いようです。
「現役時代に収入が多かった人ほど、老後破産に陥るリスクがある」という専門家の指摘もあります。
収入が多いから問題ないと思い込み、返済が厳しいローンを組んで高級住宅を買ったり、子どもを私立の名門校に通わせたりする結果、老後を支えるための貯蓄に回すお金がなくなるというのです。
「そういった人たちは、退職後も多額のローンが残っていて生活を圧迫したり、見栄などから生活レベルを落とすことができなかったりし、最後は生活に行き詰まってしまう」のだそうです。
老後は年金や退職金に支えてもらおうという意識は捨てなければなりません。
そして、高額な住宅を購入するなどの過大な支出は抑え、地道に貯蓄や投資をして老後に備えるしかないのです。
「どうにかなると思っていたら、どうにもならない時代」と多くの専門家は警鐘を鳴らしています。
老後破産となり、生活が立ち行かなくなってしまった場合はどうなるのでしょうか。
自分の子供や兄弟など周囲に面倒を見てくれる人がいればよいですが、独立して生活している世帯は、自分たちの生活を守るのに精一杯という人も少なくありません。
「お金がなくなったら身内に頼ればいい」という考えは、現実には無理でしょう。
収入がなく援助してくれる人もいない場合には、生活保護を受けるか自己破産をするという方法があります。
生活保護を受ける時には、所有する車や現金などの資産は手放さなければいけません。
住宅ローンなどがまだ残っているが、支払う能力がない場合には自己破産をすることで、支払いをする義務がなくなりますが、所有していた家も自分のものではなくなります。
老後破産してしまうような老後を送らないために、安易にローンを組んだり浪費したりするのではなく、人生を見通したお金の使い方、貯め方を考えた方がよいでしょう。