投機とギャンブルと投資の違い
お金を使うときに、自分が何を目的としてそれを行うかをきちんと理解していることは、お金との付き合い方を考えるうえでとても重要です。
投機、ギャンブル、投資の違いをみてみましょう。
投機とは
投機は、資金を「機会=チャンスに乗じる」ことがもともとの意味です。つまり、「偶然・不確実ながら、当たれば大きい利益を狙うこと」や、価格変動の予測をもとに、「短期間で、安く買って高く売り抜けようとすること」を指します。
短期間での一攫千金やランダムな幸運を狙いますので、もともと参加者が出し合ったお金の総額、つまり利益のパイ自体が大きくなるわけではありません。
したがって投機は、その時々のチャンスに参加しているメンバー間で出し合った参加費を取り合う(つまり勝ち負けがはっきりとつき、負けたほうには何も残らないゼロ・サムゲーム的な)行為として説明されます。その意味で、まさにチャンスに賭ける=ギャンブルと似ていると言えるでしょう。
ギャンブルとは
チャンスに賭ける点では投機と同じですが、ギャンブルには胴元(場の主催者)がいて、場所代等の高額な手数料を取っている点が異なります。ギャンブルとは、この手数料や胴元の利益を差し引いた「残り分」を、参加者同士で争う仕組みです。
行政が胴元となって行うギャンブル、特に宝くじの還元率は驚くばかりの低さです。参加者が出し合ったお金を半分以上行政が持っていってしまう上、天文学的に低い当選確率を上げる合理的な方法はありません。
投資とは
手持ちの資金を「資本に投入する」、つまり事業を行うための元手である「資本」として出資することがもともとの意味です。会社でいえば、「資本金」を集める、なんて言い方をしますよね。
元手を使ってビジネスを行い、順調に売り上げが上がり、そのビジネスが成長していくと、中長期的には儲けが増えることを期待できますので、元手を出した人は、その分の儲けた分の分配を受けられます。株式会社だと、株価の値上がり益や、株主に対する配当として受け取るイメージがわかりやすいです。
つまり投資の場合、全体の経済価値自体(パイ)が大きくなることで、一人当たりの分配分が増ることが期待できるのです。(もちろん、すべてのビジネスが成功するわけではないですし、分配分の多い少ないはあるにせよ、仕組みとして期待できるかどうか、という話です。)
つまり投資とは、国や企業の経済的な価値自体が増えること、つまり本質的には経済成長に期待をかける行為といえます。資本主義は経済が成長することを目指す仕組みですので、その波に上手に乗れればもともとの利益のパイ自体が大きくなり、その結果、投じた資金(=取ったリスク)の額に合わせて、自分の資産も増えていくはずだからです。
国や企業に対する個別の投資自体は、期待通りに成長しなかったり失敗することもありますから、投資した資金が減ることもあります(=投資のリスク)。でも、仕組みとして元手自体が増えることをより期待できるため、資産運用の手段として「投資」が呼びかけられる一方、「投機」や「ギャンブル」は入ってこないわけです。
まとめ
投機と投資の違いは、経済価値の増加が見込めるか否か、としましたが、例えば同じ株式投資でも、運用方法やスタイルによっては投資にも投機にもなり得ます。
また、個人の投資経験や性格、資産の額や年齢と言った属性、FXや株取引で損をしないための知識や技術のレベル、個別の商品(どこの株を買うか?等)の選択眼の有無などによって、人それぞれ投資で取ることのできるリスクのレベルが異なることも重要な点です。ある人にとっては「投資先」であっても、人によっては「投機的」に過ぎるものもあるはずだからです。
実際は、投機と投資はいずれもリスクを取って利益を目指すものであり、突き詰めていけば、万人が納得するような明確な違いも、良し悪しもないのです。
その上で、投機は、自分が取れるリスクの範囲や種類を見極め、それを自らコントロールしていく意思や技量のある人が行うべきものといえます。逆に、初心者がお金を増やす手段として、または手持ちの資金を着実に増やしたい人であれば、投機よりはまず投資を目指すべきでしょう。