仮想通貨の利益は雑所得か事業所得
2017年12月に発表された国税庁の「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」によると、仮想通貨の取引で得た利益は原則として雑所得に分類され、利益が20万円を超える場合は確定申告の必要があります(主婦や学生など扶養されている方は33万円以上)。
また、事業所得者が決済手段として仮想通貨を使用している場合や、仮想通貨取引によって生計を立てていると認められるようなケースには雑所得ではなく事業所得となります。
所得はその内容によって10種類に分類されます。例えば会社から支給される給与は給与所得、事業から生じた所得は事業所得、預貯金の利子は利子所得。そのうち、「どの所得にも当てはまらない所得」は雑所得に分類されます。
【所得の種類】
1 | 事業所得 | 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得。ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、原則として不動産所得や山林所得に分類。 |
2 | 不動産所得 | 土地や建物、不動産の貸付から生じる所得 |
3 | 給与所得 | 勤務先から受け取る給与、賞与などの所得 |
4 | 退職所得 | 退職により勤務先から受ける退職手当や、厚生年金保険法に基づく一時金などの所得 |
5 | 配当所得 | 株主や出資者が法人から受ける配当や、投資信託などの収益の分配などにかかる所得 |
6 | 利子所得 | 預貯金や公社債の利子、合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいいます。 |
7 | 山林所得 | 山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得 |
8 | 譲渡所得 | 土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得 |
9 | 一時所得 | 生命保険の満期金など、営利を目的としない行為から生じる所得 |
10
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雑所得
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上記以外の所得。仮想通貨の利益は原則この雑所得に分類。
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参考:国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」
雑所得は利益が多くなるほど税率が高くなる
雑所得は総合課税の対象で、給与所得などほかの収入と合算した額に応じて税率が決まります。
なお、所得税は収入に応じて課税率がアップする累進課税、最高税率は45%です。利益が多額になれば、累進課税によって所得税の税率は最大45%までアップし、住民税10%と合計して最大55%に。給与所得に対する税率まで上がってしまう可能性もあります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」
雑所得の赤字は、損益通算ができない
もし、ビットコイン等の取引で赤字(利益がマイナス)になった場合の扱いでも、雑所得は不利な扱いになっています。
たとえば、商売の利益である「事業所得」や不動産賃貸の「不動産所得」でもし赤字になった場合はまず、ほかの所得とその赤字の通算ができます。
たとえば、事業所得で100万円の赤字になった場合、給与所得200万円があれば、給与所得の200万円から事業所得の赤字100万円が相殺され、課税されるのは100万円になります。
しかし、雑所得で100万円の赤字になったとしても、給与所得200万円との相殺はできず、200万円が課税対象になるのです。
雑所得の赤字(損失)は、翌年以降への繰越しもできない
雑所得の扱いになったことで、赤字に対する不利な扱いがもうひとつあります。
それは、赤字(損失)を翌年以降に繰越すことができないことです。
たとえば、前年の赤字が100万円、今年の利益が500万円だった場合で、損失の繰越しが認められれば、今年の利益500万円と前年の赤字100万円が相殺され、今年は400万円が課税対象になります。
しかし、損失の繰越しが認められないと、前年の赤字100万円との相殺ができず、500万円が課税対象になってしまうのです。
雑所得には、特別控除がない
事業所得や不動産所得を青色申告で申告すれば、青色申告特別控除といって、経費でないのに利益から引いてくれる優遇制度があります。
譲渡所得や一時所得にも50万円の特別控除があります。
しかし、雑所得にはこのような特別控除がありません。
雑所得は、そのまま課税対象になります。
参照:ビットコインの利益は雑所得に!損益通算・繰越しはできない
仮想通貨で利益が出そうなら節税対策や確定申告対策は必須ですね。
非常に面倒なことだと思います。
考えるだけでも気を失いそうです。
『そんなこと言ってる前に儲けてみろ!』と自分に向かって叫んでいる自分がいます。(笑)